SEIKOの世界への挑戦とGrand Seikoの誕生
懐中時計と、輸入されたわずかな海外製腕時計しかなかった大正時代初期。SEIKO(当時はまだ別名)は1913年に国産初の腕時計『LAUREL(ローレル)』を誕生させました。
それからおよそ50年、スイス製が高品質・最高級腕時計の代名詞とされていた1960年。SEIKOは培ってきた技術を結集し『世界に挑戦する国産最高級の腕時計』としてGrand Seikoを誕生させました。"正確な時を示す"という時計の本質を追求し続け、1967年には機械式腕時計の精度を争う世界コンクールで頂点に。
その時に使用された機構がハイビートと呼ばれるもので、これ以降、腕時計の精度は飛躍的に上がっていきました。ごく簡潔にハイビートを説明すると、時計内部のある部品の振動数を上げることで、時計が姿勢変化による重力の影響を受けにくくなるため、精度が安定するという仕組みです。身近なもので言えば、コマは早く回っていると安定しますが、ゆっくりになると不安定になってくる、そんなイメージ。
僕がセレクトしているVintage SEIKOのモデルも全てハイビートです。国産初のハイビートモデルとして1967年に発売された『ロードマーベル36000』や、国産初の自動巻ハイビートモデルである61系グランドセイコーなど、ハイビートでありながら耐久性が高いものを、時計修理技師としての経験からセレクトしています。
『LORDMARVEL36000』
それからさらに50年経った現在、世界的なSEIKOの評価は高く、世界最大級の高級時計マーケットプレイスでも3位のシェアを誇るとのこと。
僕自身もVintage SEIKOのご提案を行っている中で、海外からオーダーをいただくことがあり、SEIKOに対する海外からの高い評価を肌身で感じています。
藤戸さん、ジュネーブへ
昨年に続き、10月5日(土)からVintage SEIKO Fair in 福岡を開催させていただく『Directors(FUJITO Flagship Store)』さん。FUJITOは20年以上続く福岡発のアパレルブランドで、海外にも展開されています。
今回、その代表である藤戸さんが、偶然にも時計の街であるスイスのジュネーブにてトランクショーを行うということで、僕が提案しているヴィンテージグランドセイコーを着用していただき、現地の方の実際の評価や、イメージを聞いてきていただきました。
藤戸さんに選んでいただいたのは、自動巻ながら薄さと軽さが特徴の『56系グランドセイコー』。ベルトは綺麗めカジュアルな印象のエプソンレザーのブラックを選択。「グランドセイコーだけど、過度に主張する感じがなく、渋くていいですよね〜」と藤戸さん。
前述にもある通り、世界最大級の高級時計マーケットプレイスでも、世界3位のシェアを誇るというSEIKOなので、海外でも有名であることはわかっていましたが、藤戸さんとのお話の中で共に驚いたことは「ヴィンテージグランドセイコーか!良い時計してるね!」と声をかけられたということ。現行品であれば想像出来た反応ですが、ヴィンテージでそれがあるとは…そこまでの認知に驚きでした。
ジュネーブの街には、わりとヴィンテージウォッチ店は多くあるものの、ヴィンテージグランドセイコーの実物を見れることはほとんどないようです。
気になる評価としては、まずモノづくりがすごく良いということと、そのクオリティに対しての価格がとても安いというイメージがあるそうです。これについては、藤戸さんがご自身のブランドFUJITO(Made in Japan)に対する海外からの評価とかなり似ているとのことで、改めて日本のモノづくりの良さを感じられる出来事でした。
僕が感じるSEIKOに対する海外からの評価
僕が時計修理技師として、ヴィンテージセイコーの提案を初めてからの5年だけでも、アジアを始め、アメリカ、中南米、ヨーロッパと広い地域の方からオーダーをいただいており、海外からのSEIKOに対する評価の高さは肌身で感じていました。
僕の肌感ではありますが、アメリカ、中南米あたりの方は、特にカスタムしたヴィンテージウォッチへの関心が高く、ロードマーベル36000のブラックや、ブラック&ホワイトが人気。
ヨロッパからのオーダーでは、カスタムは少ないように感じていて、クラシックなモデルを選んでいただくことが多いような。あくまで僕の肌感ではありますが、そんなところにも面白さを感じます。
共通してよく言われるのは、ヴィンテージセイコーは精度が高いということや、すごく丈夫だということ。やはりモノづくりについての高い評価が大半で、藤戸さんからお聞きしたスイスでの評価もしっくりきます。
もう一つ、よく素晴らしいと言われるのは『デザインのシンプルさ』。これは僕も様々な時計を修理してきた中で、ヴィンテージセイコーの良さとして感じているところです。
Vintage SEIKOのファッション性
視認性はもちろんですが『デザインのシンプルさ』が活きてくるのが、ベルトとの合わせだと思っています。シンプルな分、様々なカラーや質感のベルトと合わせやすいので、ファッションのコーディネートとして楽しみやすいです。昨年、藤戸さんと対談させていただいた際にも『モノづくりの良さと、ファッション面のバランス』については、とても共感していただき、ご来店いただいたお客様にも好評でした。
ベルトはお客様ご自身でワンタッチで簡単に交換が出来る加工を施してありますので、その日のファッションに合わせ、交換して楽しむことが出来ます。
Vintage SEIKO in FUKOKA
ここまでヴィンテージセイコーについて色々とお話させていただきましたが、そんな素晴らしいヴィンテージウォッチをもって、今年も福岡にお邪魔します!ヴィンテージグランドセイコーに始まり、キングセイコーや、ロードマーベル36000。オリジナルカスタムしたマットブラックシリーズもご用意しております。
イベント期間は10月5日(土)〜14日(月)、昨年と同じく『Director(FUJITO Fragship Stor)』さんにて。
5日(土)、6日(日)は僕も時計修理技師として店頭に立たせていただきますので、ぜひお気軽にお立ち寄り下さい!
※ヴィンテージウォッチは出張のため、10月16日頃まではオンライン、また横浜の店舗ではご購入いただけません。