YUICHI TOYAMA:5 ユウイチトヤマファイブ

YUICHI TOYAMA:5 ユウイチトヤマファイブ

私たちがセレクトしているブランドの中でも、“実用性”と“デザイン”のバランスが特に秀逸な『YUICHI TOYAMA.(ユウイチトヤマ)』のメガネ。

お客様へのメガネの提案において、「メガネは物を見るための道具であり、ファッションアイテムである」ということを最も大切にしている私たちにとって、YUICHI TOYAMA.はまさにその理念を体現しているブランドだと感じています。

その中で『YUICHI TOYAMA:5』は、デザイナーの外山さんが、メガネの世界三大産地のひとつである鯖江の中でも、特別な技術を持った5人の職人と共に作り上げる特別なコレクションです。すべてのパーツをオリジナルで製作するなど、外山さんのこだわりと哲学が隅々まで込められています。

私たちの中で、そのブランドの“特別なコレクション”というと、一般的には実用性よりもデザイン性が重視される印象があります。デザイナーの特別な想いを形にするものですから、それは自然なことかもしれません。

私たちはYUICHI TOYAMA.を取り扱い始めた当初、5シリーズにもそうした傾向があるのではないかと考え、その時すぐに取り扱いにはいたりませんでした。まずはいくつかのシーズンを通してコレクションを拝見し、実際に自分たちでも使っていきながら、お客様に本当におすすめできるものであるかどうかを、しっかりと見極めたかったのです。

それから約3年。シーズンごとにコレクションをチェックし、実際に自分たちで使用感を確かめる中で、私たちは5シリーズの完成度の高さを強く実感しました。外山さんのメガネは、必ず“実用性”を出発点にしており、その上にデザインの美しさが自然に調和しているものだったのです。



今回、内村眼鏡店でも満を持して5シリーズの取り扱いをスタートするにあたり、デザイナーの外山さんに、その哲学やものづくりの背景についてお話を伺いました。


 

 

MIKI:

今回、YUICHI TOAYAMA:5の取り扱いを開始するにあたり、お話をお伺いしたくお時間を頂きました。お忙しい中ありがとうございます。早速ですが、YUICHI TOYAMA:5を作ろうと思ったきっかけは何かありますか?

 

外山さん:

YUICHI TOYAMA:5を作ろうと思ったのは、2020年の緊急事態宣言の頃でした。あのとき、僕らは突然、不安な時代に放り込まれた感覚があって。だからこそ、“僕らにしかできない何かをやりたい”と強く思ったんです。

 

海外と断絶された状況で、日本のクリエイションや伝統的な技術をもう一度見つめ直して、それらを結集したものづくりをしよう。それが、最初のきっかけでした。今振り返ると、あの時期をただネガティブな時間で終わらせたくなかった。むしろ“あの時期だからこそできたこと”を形にしたかったんです。結果的に『YUICHI TOYAMA:5』は、未来への希望を込めたプロジェクトになったと思います。

 

MIKI:

コロナになったからといって突然始められることではないと思うのですが、頭の中に、いつかはYUICHI TOYAMA:5のようなプロダクトと作るという構想があったということでしょうか。

 

外山さん:

はい。僕はデザインの仕事をもう三十年ほど続けていますが、ある程度デザイナーとして一人前になったかなと思えた頃から、「いつかは自分のブランドを作りたい」という気持ちが芽生えていました。

そして、実際に自分のブランドを持つようになると、「自分の想いだけを100%詰め込んだものを作りたい」という欲求がどんどん強くなっていったんです。ただ、それを実現するのは簡単ではなくて。


多くの人は、10周年記念やアニバーサリーのような節目に“特別モデル”として作ることが多いと思います。でも僕らは、そうした“特別なもの”をもっと日常の中で使えるようにしたいと考えました。つまり、日常使いの中にこそ僕らのこだわりを凝縮して、実際に手に取ってもらえるものにしたい、という想いがありました。

 

だからYUICHI TOYAMA:5 は、ずっと昔からの想いがようやく形になったもの。そしてコロナの時期が、それを実現するきっかけになったんだと思います。

 

 

MIKI:

 通常ラインと比較し、YUICHI TOYAMA:5だからこそ実現したかったこと、表現したかったことは何ですか?

 

外山さん:

メガネって、通常は「視力を補うための道具」として使われるものですよね。でも僕らが「YUICHI TOYAMA:5」で目指したのは、それだけではありません。

 

“掛けるための眼鏡”というだけではなく、“触っていたい”“眺めていたい”と思えるような、掛ける以外の楽しみ方を提供できるようなプロダクトにしたいという想いがありました。

 

例えば、自分でセルフメンテナンスができるような構造や、角の部分の質感・厚みなど、指先で触れたときに「他のメガネとは何かが違う」とユーザーが感じ取れるように——。そうした細部の“触感”や“手応え”を通して、日常の中で発見があるような眼鏡を目指しました。

 

 

 

 

MIKI:

YT:5を作るにあたり、技術的な挑戦や苦労した部分はどのあたりでしょうか。

 

 

外山さん:

メガネづくりというのは、いつも挑戦の連続なんです。僕らデザイナーは「できること」を前提にデザインをしますが、実際に職人さんにデザインを見せると、「これはできない」と言われることも少なくありません。

 

職人さんたちは、これまでにやったことのないことに対して、当然リスクを取りたくないという気持ちがあります。それは当然のことだと思います。

 

でも、僕らは「こうすればできるかもしれない」「ああすれば可能かもしれない」と、いろんな方向から伝えていく。そのうえで大事なのは、彼らとの関係性です。信頼関係があって初めて、「やってみよう」と思ってもらえる。

 

僕らデザイナー自身が直接メガネを作ることはできません。だからこそ、職人の知見をどう引き出し、どう一緒に挑戦していけるかがメガネづくりの一番難しい部分であり、同時に醍醐味でもあります。

 

 

MIK:

YT:5は、ユーザーにとって、どんな存在であって欲しいと思いますか。

 

外山さん:

僕が思うのは、「YUICHI TOYAMA:5」は、若い人たちにとって“憧れの存在”であってほしいということです。価格的にも決して手頃ではないからこそ、「これを手に入れるために頑張ろう」と思えるような、そんな存在であってほしい。僕自身も若い頃、そういう憧れのものがありました。

 

そして、年齢を重ねた方や経験を積んだ方にとっては、“新しいスタンダード”として存在してほしいと思っています。「今までのメガネよりも重厚感があるのに、掛け心地がいいね」と感じてもらえて、「これならずっと掛けていたい」と思ってもらえるような、そんな日常の中に自然に溶け込むものを目指しています。

 

つまり、「YUICHI TOYAMA:5」は若い世代にとっても、成熟した世代にとっても、それぞれに特別な意味を持つアイウェアでありたい。YUICHI TOYAMA:5をかけているという、ちょっとした特別感を感じてもらえること。それが僕にとって一番の喜びであり、YUICHI TOYAMA:5として届けたい価値だと思っています。

 

 

MIKI:

特別なコレクションであっても、掛け心地の良さというのは、とても重要視されているようにプロダクトからも感じられます。

 

外山さん:

そうですね。僕らはいつも、「この眼鏡をかけた人がどう感じるか」ということをすごく大事にしています。チーム全員で真剣に話し合いながら、ディスカッションを重ねて、細部まで考え抜くんです。

 

これは眼鏡だけでなく、あらゆるデザインに共通することなんですが、僕は特に日本人は「相手にとってどうか」を想像して動ける力に長けていると思っていて。それは時にいきすぎることもあるけれど、プロダクトづくりにおいては“相手を思いやる視点”がすごく大事だと感じています。

 

相手が手に取ったとき、かけたときにどんな喜びが生まれるかを先回りして考える——
それがいわゆる「おもてなし」にも通じる考え方ですよね。僕はその“おもてなしの精神”を、 僕らのプロダクトには、しっかりと宿していきたいと思っています。

 

 

 

MIKI:

最後になりますが、内村眼鏡店についてどう思いますか?率直な感想をお願いします(笑)

 

 

外山さん:

僕は世田谷に住んでいることもあって、横浜ってすごくアクセスがしやすいし、若い頃はドライブに行くといえば山下公園やみなとみらいの方へ行って、元町にもよく足を運びました。本牧にはプリンスがプロデュースしたクラブがあって、ライブを観に行ったり。サーカスっていうクラブもあって、あの辺りは本当に馴染みのあるエリアでした。

 

山下公園も昔は車が並んで、みんなナンパしていたり(笑)、大黒ふ頭なんかもよく行っていました。僕らの世代はちょうどカリフォルニアの“ハイドロ”が流行っていて、みんなヤンキーがスピーカー積んで音楽鳴らして。大黒ふ頭は僕にとって“メッカ”のような場所でした。赤レンガの辺りもまだ整備されていなかった頃、入っちゃいけないのに写真を撮ったり。アメリカ文化への憧れが強くて、18歳で初めて渡米してからは、すっかりアメリカかぶれでした(笑)。

 

 

 

MIKI:

横浜は、思い出が沢山ある街なんですね!

 

外山さん:

はい。そんなこともあって、横浜という街は僕にとってすごく特別です。海も好きだし、海と都会が程よく共存している感じがあって。それって神戸にも少し似ているんですけど、他の街にはなかなかない雰囲気なんですよね。海辺でもなく、都会でもない、そのちょうど中間のような。茅ヶ崎にはない独特の雰囲気。

 

内村眼鏡店に入った時も、まさにその“横浜らしい空気”を感じました。肩肘を張らず、気取らず、リラックスできる空間。だけどどこかに「新しいカルチャーの匂い」がある。置かれているものも、暮らしの中に取り入れたくなるようなセンスの良いものばかりで、そういう細部が居心地の良さを生んでいる。お客さんもきっと、あの空間で自然とリラックスして過ごせると思います。

 

また、昔ながらの眼鏡店とは違う、新しい形の“路面店”という印象を受けました。内村眼鏡店のようにリラックスした雰囲気で、なおかつ文化の香りを感じさせる場所は貴重だと思います。横浜らしい空気が流れていて、僕にとってもすごく相性が良いと感じました。

 

海辺の穏やかさと都会の洗練がちょうどいいバランスで混ざった街——それが僕にとっての横浜であり、内村眼鏡店もまさにその延長線上にあるように感じました。

 

 

 

 

MIKI:

ゆったりとリラックスできる空間作りというのは、お店を作る時に意識した部分でもあるので、そのようにおっしゃって頂けて嬉しいです!本日は貴重なお話しを頂きありがとうございました。

 

あとがき

今回の外山さんのお話を聞いて、YUICHI TOYAMA:5は、日本人の精神からしか生まれ得ない、最高峰のモノづくりによるメガネだと改めて感じました。機能とデザイン、そして外山さんの哲学が調和する一本。神奈川県内では、初めての取り扱いとのことですので、ぜひ店頭でお手に取って感じていただけたら嬉しいです。商品ページはこちら。


ブログに戻る